「究極の映画館をつくろう」③
はじめに
福岡市と共催で行う「映画館」の究極のかたちをみんなで模索するプロジェクト『究極の映画館をつくろう』。小学校4年生~中学校1年生の計15名のメンバーたちが、映画に関わる専門家たちと共創しながら、映画も映画館も自分たちでつくりあげ、最後には運営も手がけます。こどもたちの主体的な活動に期待して、こども家庭庁も後援に!
こんなこと誰もやったことがないのでは…? なしとげた時点で究極? そもそも究極ってなんだろう?? 映画館の概念にとらわれず、自由に、そして誰にも予想がつかないドキドキが詰まった活動がスタートします。
本レポートでは、2023年8月~2024年3月まで全17回の活動(+通常活動での準備)の様子を数回に分けてお伝えしていきます。
活動レポート③
世界最速!映画おひろめ会 2023年11月12日(日)
待ちに待った映画のおひろめ会! 頑張ってせりふを覚えたあのシーン、何度も撮りなおしたあのシーン…さてどんな仕上がりになっているでしょうか…?
真剣に見ていたみんなですが、だんだんとクスクスとした笑い声が聞こえてきて、最後には大爆笑!(ええ~!) 。鑑賞後の振り返りでは、映画を作ったみんなからは、演技や編集の良かった部分に関するコメントがたくさん上がってきました。 「いや~良い映画が撮れてよかったよかった!」…というわけにはいきません。
映画のストーリーづくりの工程や撮影現場を知らない「初めて観る人」からは、 「演技・カメラワークが本格的!うまい!」 「引き込まれるシーンから始まるのがGOOD」 「楽しんで撮影したことが伝わってくる!」 といった感想をもらった半面、 「設定が複雑でよくわからなかった。」 「2回観たけどわからないシーンがあった…。」 「登場人物の関係性が分かりにくい。」 といった意見も寄せられました。
しかし、われらが究極チーム。そういった意見は想定内といえば想定内…。短編映画を撮ろう!と決めたときからいくつかのアイディアが出ていました。 全ての設定や話を丁寧に映画にするのではなく、今回のアイディアで一番面白い部分を映画にしよう。映画の中で伝えきれない部分は映画館で表現していこう。私たちが作るのは「究極の映画館」。私たちが面白いと思う映画を作り、その映画を究極に楽しんでもらえる映画館を作り、お客さんに楽しんでもらう。
そう考えたら、今回のおひろめ会で出てきた「わかりにくさ」は、映画館の空間でいろいろ解決していける!映像と空間が唯一無二のセットとなる映画館を目指していこう。
今回は、「究極の映画館をつくろう」でこどもたちが主体的に社会に関わり新しいサービスを形にしていく面白い活動だということで、後援していただいている「こども家庭庁」の岩崎企画官、安藤広報推進官のお二人が、この映画を世界最速で見てみたい。そしてこの映画を見るための映画館づくりの活動にも参加してみんなと意見交換をしたい!とのことで参加してくれました。
また、こどもたちが商業に関わる活動を自分たちの力で形にしている部分をぜひ参考にしたいということで北海道から「コープさっぽろ」の畠山さん、米澤さんも来て映画を見てくれました。
それぞれ、まっさらな状態で映画を見てもらい、映画を見るお客さん視点でたくさんのアドバイスを出してくれました。メンバーのみんなも映画をもっと良くするためのアドバイスを真剣に聞きながらうなずいていました。
こども家庭庁の岩崎さんからは、「ストーリーのナゾの部分は全てを先に説明するより、少し残したままにしたほうがドキドキして、おもしろくなりそう!」という話ももらいました。
たしかに内容がすべて分かっているストーリーを見ても面白くなさそう。 せっかくならドキドキ・わくわくしてもらいたい! お客さんに何を先に伝えて映画を観てもらうか、映画を見ている時にどうなってほしいか、見終わったときの満足度はなんなのか、いろいろと情報を整理していく必要がまだまだたくさんありそうです。
映画を見る前、映画を見る時、映画を見終わった後。
できあがった映画を見て、色んな人の意見を聞いた上で、映画撮影前からなんとなくみんなで話し合っていた映画館の空間について具体的にどうしていくのが良いのか話し合っていきます。 「映画を見る前」「映画を見る時」「映画を見終わった後」。この3つの空間にどんな機能や伝えたいこと、やりたいことを入れていったら、私たちが作った映画にとっての究極の映画館になるのか?
この話し合いには、空間づくりの専門家、株式会社船場の北島さんが参加してくれました。商業施設や文化施設など人が集まる空間のデザインのお仕事をしている方です。 北島さんからは「空間を分けるときはまず初めにその空間のコンセプトを決めると良いですよ!」とアドバイスが。アドバイスを頭に入れつつ、こんな仕掛けがあったら楽しそう!こうすればストーリーがより伝わるかも!などなど思い付いたアイデアをふせんに書きだしていきます。
大人も子どももまぜこぜのチームでおしゃべりしながら書いていると、お互いに気付かなかった視点や考え方が組み合わさってさらにおもしろいアイデアがたくさん出てきます。
みんなが書いたふせんは一度集めてグルーピング。おおっこれは!みんながやってみたいコトがなんとなく見えてきたぞー!
こども家庭庁の岩崎さんが言っていたアイデア「ナゾのちょい残し」は、「映画を見る前の部屋」の重要なミッションになりそう。 ストーリーを熟知している脚本家メンバーの腕の見せ所です。 「映画を見る部屋」は映画に集中できるよう、とにかく快適にしていきたい方針か?
「映画を見終わった後の部屋」では映画の視点とはまた別の視点でストーリーの補完と、さらに映画館を好きになってもらえる仕掛けを盛り込むことになりそうだ。 やること盛りだくさんー!
最後には、みんなのアイデアを聞いた船場の北島さんから映画館の平面レイアウトの提案が出てきました。この短い時間に…さすがプロです。 本番のイメージもだんだん沸いてきます。ちなみに…映画館の場所は…まだ内緒です!楽しみにしておいてください。
今日一日一緒にアイデア出しをしたこども家庭庁、コープさっぽろの方たちからは「一緒に活動できて楽しかったです!本番の映画館も必ず観に来ます!」とコメントを貰いました。この活動をはじめてから、映画監督さん、映像制作会社、ロケ地となった場所の人たち、仲間がどんどん増えてきています。大人も子どもも関係なく、「楽しそう!」と思った人たちが集まってどんどん面白くなってきた「究極の映画館をつくろう」。 空間づくりも気合いを入れて頑張るぞー!
とりあえず作ってみてから考えよう! 2023年12月2日(土)
前回の活動で、 「映画を見る前」「映画を見る時」「映画を見終わった後」の3つの空間で映画館を作る。そこで表現したいことも固まってきました。今日は前回出したそのアイデアをもとに「プロトタイプ」を制作します。 「プロトタイプ」とは試作品のこと。 本番では使いませんが、どんな空間になるのかイメージを膨らませるために大事な活動です。
一番確認したいことが多い「映画を見る前の部屋」「映画を見終わった後の部屋」の2つにわかれて活動をスタート。 メンバーは、なにやら怪しいネコ型の「なぞのカケラ」を使って空間で表現する情報を整理していきます。 ひらめいたメンバーは新しい「なぞのカケラ」を作っている様子。 カケラをもとに何をつくるか決めているようです。
今日は段ボールが山盛りあるよ!
作るものが決まったメンバーたち、我先にと段ボールを取りに来ました。 プロトタイプには1cm単位の細やかな調整は不要。 おおざっぱに作っていくのが鉄則です。(そしてそれがとても楽しい!)
休憩も忘れて夢中で取り組むメンバーたち。 ネタバレになるので細かな解説は控えますが、プロトタイプの発表会では、数時間しか時間が無かったとは思えない、おもしろい・斬新な物が並びました! 今まで隠されていた(!?)新たな才能を発揮したメンバーもいて、この活動の中でみんなの個性や特技がどんどん成長しているんだな。とドキドキワクワクする場面も。
この活動には、船場の制作メンバーの椛島さんと新留さんも参加してくれました。こどもたちの制作中に生まれた疑問を教えてもらったり、壁やドアの作り方を話し合ったりと本当の仕事のように一緒に活動しました。
映画館の活動を通じて様々な大人と出会っているメンバーたち。 活動が始まった時よりも、より一層人とのコミュニケーションがうまくなっている気がします。 これからは、プロトタイプをもとに実際の映画館用の制作を進めていきます。 お楽しみに!
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■共催:福岡市
■後援:こども家庭庁
協力:株式会社船場