九産ライダーヒーローショー極~ダーク明太子の秘密~

  • 2023.09.23

子どもたちと舞台演劇を作っていく新プロジェクト「VIVITA STAGE」。

初回はVIVISTOP HAKATAを拠点に、九州産業大学 漫画研究部のヒーロー「九産ライダー」と活動することに!

「誰も見たことがない、新しいヒーローショーを開発すること」をミッションに、
VIVISTOP HAKATAのメンバーと九州産業大学の大学生たちで「九産ライダーショー製作委員会」を発足しました。

ここからは約3ヶ月間の活動の様子を振り返ります。

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7/1 キックオフ!

プログラミングモジュール”VIVIWARE Cell”でレプスの新しい銃を制作する最中、サプライズでワークショップ会場がヒーローショーの舞台に!
観客巻き込み型のヒーローショーをまずはメンバー自身が体感しました。
その後、舞台の仕組みや役割分担(アクター/声優など)を含めてメンバーにネタばらし。
ショーのおもしろかった部分や改善点をきっかけに本番のヒーローショーのストーリーやキャラクターを話し合いました。

ヒーローショーのアイデア出しの付箋はなんと233枚!

233個のアイデアは、「スモークを出す」「ライダーがおちょこちょいで武器じゃなくておたまを持ってくる」、「MCのお姉さんが実はラスボス」等ヒーローショーとしてよく見る演出を再現するようなものから、自由で斬新なものまで幅広く集まりました。

九産大生は、今までの経験からアイデアの面白さを実現できるか?の狭間にいて、
「う〜ん」と腕を組んで真剣に悩んでいた様子。
アイデア出しでみんな力を使い切り、この時点で疲労気味。
何とか方向性だけは決めたい!と思い、みんなのアイデアを「ヒーローショーのテーマに関するもの」、「演出や技に関するもの」でグルーピングしました。

ヒーローショーのテーマは、
「博多の特産品や特徴を活用しながら見ている観客を巻き込んだり協力して話が進み、観客が出演者(ヒーローも悪役も)みんなをショーのあとにファンになるようなヒーローショーを実現する!」に決定。(グルーピングの後ここまでアイデアをまとめるので一苦労💦)
ストーリーは「ヒーローがピンチになるドキドキ感と、そのヒーローと戦う悪役が力をあわせて助け合う」という、普段のヒーローショーではなかなかない展開になりそうです。

7/15 脚本決め会
前回のキックオフでは、語られなかった九産ライダーのキャラ設定を紹介してもらいました。
キャラクターボイス(CV)、アクターさんのお芝居それぞれ設定があり、個性として確立しています。
その徹底ぶりはプロそのもの。セリフの細かい語尾や言い回しも「これは○○(キャラクターの名前)だったら△△にしたほうがいいかも」とキャラクターへのリスペクトを感じられました。

テーマやストーリー、演出や技のアイデアを元にさくさくが脚本を書いてきてくれました!
特産品は明太子を使い、VIVIWAREを使って観客もヒーローショーに参加する設定。
前回のアイデアを拾って一つのストーリーにまとまっていて、感動しました。

ここで、さくさくから相談が、、、
・新悪役の名前やキャラ設定(この時点ではXと呼んでいた)
・特産品→明太子でOK?

新悪役の会議。
名前のアイデアを出し合い、悪役感をお客さんに感じてもらえるように意識して、アイデアを組み合わせました。名前は「Dr.ウト」。
賢くて冷静なセリフからカラスを連想し、ネットで調べたらカラスとウサギという意味を持つ「烏兎(うと)」がヒット。
レプスくんのモチーフであるウサギが入っているのもいいんじゃないか?となり採用★

名前は決まったものの、どんなキャラ設定でいくか、、、
明太子×Dr.ウト、、、むずかしすぎる!思いつかない!

そんな時、じろうが「Dr.ウトはダーク明太子の開発者」という設定を思いつきました。
天才!

8月 夏休み!
九産大メンバーが来て、活動のサポートをしてくれる「集中活動日」を3日設けました。
台本の読み合わせをみんなで行い、各役割で本番を想定した練習を重ね、台本は次第にメモがたくさん書き込まれていきました。

ここで絶対触れておきたいのは、じろうによる子レイダーのお面作り。
研究と言っても過言ではありません。
お面のデザイン画は子レイダー役で考え、「ファントムホワイトカンパニー」という名で、目の下にくっきりクマができています。
会社がホワイトだと思ったらブラックだったという残念な子レイダー達。
悪役のもとで働くのにホワイトなら、私も働きたいです。(笑)

一枚のソフトボードを自分の顔サイズに切ったり、目や口の穴を開けたりするのが難しかった様子。
顔にソフトボードを沿わせて、自分が思うサイズに切ってみたら、めっちゃ小さい!(笑)
顔の正面は覆われているけど、側面はじろうがばっちり見えています。

そして、九産大メンバーから視界が狭い=演技をするときに危険という指摘を受け、大きいサイズで作り直すこととなりました。レイダーのお面をじっくり見ると、お面を3つほどのパーツに分けて立体につなぎ合わせています。

そこで平らなお面をパーツに分けて切ってみたら、、、ただのパズルになっちゃいました。(笑)

挫折を味わうじろう。
ソフトボードは柔らかさがあるゆえに、形状を記憶して固定することが難しく、立体にするのは至難の業。

そこで、かっしーが神の手を差し伸べました。

「張り子スタイルでいこう」
マネキンに油ねんどで顔型の型を取り、ラップの上から水のりをしみこませた半紙を貼り重ねていきます。

このタイプ、研究の中でできた作品としてはなかなか完成度が高かったのですが、弱点がありました。
水に弱い・万が一欠けたら修復不可能、致命的な弱点!

お面、どうしよう・・・
この段階で八月の中旬を過ぎていました。

お面づくりに頭を悩ませましたが、
「今回のプロジェクトの目的は、お面を作ることではなく、誰も見たことがないヒーローショーを作ることだ!」と私たちは原点に立ち返り、
お面は市販のものにスプレーで装飾し、最初のデザイン案に近づける方向にシフトしました。

今回会場となる、屋上つばめの杜ひろばは屋外かつ地上約60mの高さにあります。
つまり、「天候次第」で演出の見え方が変わるのです。屋内のショーでは何も問題がない光や風、映像を使う演出が、屋外では「一か八か」に変わります。
演出方法に頭を悩ませるかっしー。

ヒーローショーのテーマである、「観客を巻き込んだり協力して話が進み、観客が出演者(ヒーローも悪役も)みんなをショーのあとにファンになるようなヒーローショーを実現する!」
普通のヒーローショーではヒーローが悪役と戦うとき、たいていMCのお姉さんが観客に「みんなで応援しよう!せーの!がんばれ~~~!」と投げかけますよね?
観客を巻き込むためにはどうしたらいいのでしょうか、、、

みんなで考えた結果、
・Dr.ウトが「ダーク明太子の力を無効化するには破壊するしか手段はない」とうっかり観客の前で言っちゃう=観客しか弱みを知らない
・九産ライダーが全員ピンチになったとき、観客からエネルギーをもらう
でやってみることにしました。

観客からエネルギーをもらう方法はどうしようか、、、
VIVISTOPらしさを取り入れつつ、誰も見たことがないヒーローショーにしたい。

VIVIWAREを使ってショーに合わせて光や音を出せるスティックを作り、九産ライダーがピンチの時にスティックを振ると、エネルギーが送り込まれる仕組みを考えました。

ここから、ぴくみんとかっしーのVIVIWAREスティック開発が始まりました。

まずはデザイン。かっしーが別イベントで考案したスティック(十字架みたいな形)を元に、持ち手のところにイベントタイトルと「カムナ」「レプス」「ファントム」のイラストを印字してみました。

次に仕組み。
ヒーローショー中に必要な時だけステックが作動するようにVIVIWARECELLでプログラミング。
作動すると光が点滅し、スティックを使うタイミングを教えてくれます。

振動を感知するパーツを付け、スティックを振るとエネルギーが送り込まれる効果音が鳴ります。
あとは、4つのボタンが付いたパーツはそれぞれのボタンに赤・青・紫・緑が割り振られており、「赤=カムナ」「青=レプス」「紫=ファントム」「緑=レイダー」応援したいキャラクターを選ぶことができるという仕組みです。
ボタンを押すと同じ色の光が光ります。仕組みを言葉でシンプルにまとめましたが、VIVIWARECELL上のプログラミングは蜘蛛の巣のように複雑になっています。

想像以上じゃないですか、、、?(笑)

音響チームでは、Dr.ウトの登場シーン用のBGMをネット上にある膨大な音源から「これだ!」とハマる音を探す作業をゆうさんとでぃーちー、九産メンバーかずくんとやりました。
アクターの動きに合わせて殺陣の音を出すのはでぃーちーが担当。
九産メンバーで殺陣の音響スペシャリストであるえぐっちゃんによると、上達のコツは「ひたすら数をこなす」とのことでしたが、まだ殺陣の動きが固まっておらず、みんなで集まる回数は限られています。
そこで、でぃーちーは本番で使う機材「サンプラ」を自宅で段ボールで再現し、音の種類とボタンの配置を覚えてくる!と言ってくれました。
練習用に殺陣の動画を渡し、後に練習してきた成果が存分に発揮され、音響スペシャリストでぃーちーが誕生することとなります。

9/9 最終ミーティング
いよいよ、この日が来てしまいました。8月の集中活動日はメンバー・九産大メンバー全員が揃うことがなく、個別で引継ぎをして後はメンバーの努力に任せる形で終えていたからこそ、

内心「今日のリハーサルはグダグダになる」と腹をくくっていました。

リハーサル開始。
ダメ出しをせず、途中のトラブルが起きても中断せず本番通りに通してみると、
BGMや音響が出来上がっていて、それなりの雰囲気が出ていました、、、
私の予想を裏切り、お芝居はきちんと形になっていて、見ごたえがありました!(みんなごめん)

とはいえ、ステージからは見えなかったメンテナンスチーム(舞台裏でアクターの水分補給や熱中症対策、衣装が故障したときに修理したり、本番中のアクターの出入りを指示したりします)は、一回目のリハーサルでグダグダでした。
台本にメモは取っていたものの、いざお芝居が始まるとお芝居のスピードで複数のタスクをこなすのはとても大変という現実を目の当たりにした様子。
アクターの出入りのタイミングをBGMと合わせたり、アクターの緊張感が抜けてしまい思うように指示が通らなかったり、、、
二回目のリハーサルでは反省点を踏まえ、アクターごとの出番に合わせて「○○もうすぐ出ますよ~」と声掛けをしたり、お芝居のスピード感に合わせて小道具の準備をするようにしたりして、慌てずに対応できるようになってきました。

音響(サンプラ)は、それぞれの音が出るボタン位置を覚え、適切なタイミングで音を出すことができていて、お芝居の完成度をアップさせていました。
九産大メンバーに「うますぎ」と褒められていました!

本番まで約2週間。最終調整。
①VIVIWAREスティックの量産
試作品は薄めの木版で作ってみましたが、VIVIWAREの重みがあることでスティックを振るとしなってしまいました。観客の安全性を考え、厚めの木版で進めることに。
厚みを足した分、イベントタイトルと「カムナ」「レプス」「ファントム」のイラストの印字が薄くなってしまったため、くっきり印字するために何度も繰り返し、一本完成するのに約一時間かかりました。
なんとか本番までに量産完了!

②本番前に九産大の音響チームと当日サポートしてくださるプロの方と打ち合わせ。
当日の段取りや使う機材・接続端子を確認しました。実際にプロの機材を使って音源を流し、音響チーム+かっしー大興奮。(笑)本番への期待が高まります!

9/23 本番!
ピッカピカの晴れ★ヒーローショー日和
お芝居はもちろん、MC、メンテナンスチームや音響、VIVIWAREスティックの最終リハーサルをしました。

クルーのオペレーションも確認OK!
本番1時間前に会場入り。リラックスしているメンバー、緊張のあまりハイテンション・めっちゃ静かなメンバー。

屋上にはたくさんのお客さんが来場していて、準備段階から「何が始まるのかな、、、」と気になっている様子が伺えます。
ヒーローショーで九産ライダーと一緒に戦うVIVIWAREスティックを、じゃんけんでMCのまひごんに勝ったお客さんにお渡し。まひごん、じゃんけん激強いんです、、、(笑)
ちなみにリハーサルではお客さん役がじゃんけんに負けて全滅しました。(笑)

いよいよショーが開演!

メンテナンスチーム・音響チームがヒーローショーを支えていました。
メンテナンスチームはアクターさんの着替えを手伝ったり、体調管理のために水分補給の確認や冷感スプレーでクールダウンさせたりと大忙し。

音響チームは適切なタイミングで音源や効果音を流し、ヒーローショーを盛り上げてくれました!

ヒーローショーは一部機材トラブルがあったものの、大成功!
お客さんに楽しんでもらえました!

ショーの後のグリーティングでは、ヒーロー・悪役大集結★
列ができるほどの盛況ぶりでした。

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ヒーローショー・グリーティング後、達成感とやり切ってヘトヘト顔な九産大生・メンバー。
本当にお疲れ様でした!

今回のプロジェクトは、3か月強といった長期間・大学生とチームで取り組む形となり、
普段VIVISTOPではあまり関わりがないメンバー同士の交流や、チームで意見をまとめて協力しながら進めていくことを体感出来たと思います。
また、大学生という大人との関わりはメンバーにとって良い刺激になりました。

九産大の漫画研究部メンバーにとっては、子どもと取り組むことの楽しさと難しさ(実現できる⇔面白そうだけど無理じゃない?)を感じたのではないかと思います。
コロナ禍で思うように活動ができなかったであろうここ数年。
このタイミングで子どもたちと約3ヶ月(大人だけでのキックオフを含めると約5ヶ月)活動し迎えた本番。達成感や満足感を感じてくれたらいいなと願っています。

メンバーが変われば、経験が加われば、ヒーローショーのアイデアはまたがらりと変わります。
ヒーローショーのストーリー作りには終わりがありません。
さぁ、次はどの舞台?どんなストーリー?どんなヒーローになるのでしょう?

TO BE CONTINUED…