「究極の映画館をつくろう」①

  • 2023.12.15

はじめに
 福岡市と共催で行う「映画館」の究極のかたちをみんなで模索するプロジェクト『究極の映画館をつくろう』。小学校4年生~中学校1年生の計15名のメンバーたちが、映画に関わる専門家たちと共創しながら、映画も映画館も自分たちでつくりあげ、最後には運営も手がけます。こどもたちの主体的な活動に期待して、こども家庭庁も後援に!

 こんなこと誰もやったことがないのでは…? なしとげた時点で究極? そもそも究極ってなんだろう?? 映画館の概念にとらわれず、自由に、そして誰にも予想がつかないドキドキが詰まった活動がスタートします。

 本レポートでは、2023年8月~2024年3月まで全17回の活動(+通常活動での準備)の様子を数回に分けてお伝えしていきます。

活動レポート①
キックオフ&ストーリーづくり 2023年8月8日(火) 

全員集合!
 夏休み真っ最中にこの活動はスタートしました。 当初は翌日9日(水)と2日連続で集まる予定でしたが、台風接近のため単日の活動に。 この活動には、いつのもVIVISTOPのメンバーだけでなく福岡市さんが公募をかけて集まったメンバーも集まってくるので、どんな子たちが参加するのかクルーは内心そわそわです。 いざ集まってみるとよく知った顔もチラホラ! VIVINAUT(VIVISTOPのメンバー)や、前回の「プレ究極映画※」の参加者がたくさん来てくれていました。 みんな集まったところで、グループごとに自己紹介。 これから来年3月まで一つのチームとして頑張っていきます。

※本プロジェクトに先駆け、2023年3月に2Days版の「プレ究極の映画館をつくろう」を実施。チームに分かれてミニチュア模型の映画館と4DX的体験をつくりました。↓前回の活動のようす

映画のストーリーを作ろう!
 最初の最初なので、これからみんなで何を取り組むのか確認します。これから来年の3月までの間に「映画」も「映画館」もみんなで考えて、最後はお客さんに楽しんでもらうためのサービスまで自分たちで行っていくことを確認します。

 みんなであらためてやるぞー!と気分を高めて、「映画」の制作に取りかかりました。みなさん知っていましたか? 映画ってストーリーがいるんです。今回は原作が特にある訳ではないので自分たちでストーリーから考える必要があります。約7か月間で映画だけではなく映画館まで作っちゃおうとしています。そう、時間がありません。 そういった条件を考えて出た結論は…。10分程の短編映画のストーリーが限界かも。でもその短編で最高のものを考えよう!ということになりました。

 事前に専門家の方に話を伺ったところ、短編映画は長編と作り方が全く違うそうです。 プロから教わったコツも共有。しっかりメモして、みんなやる気十分です。

急きょチャレンジ!アドリブ撮影
 みんなで撮っていく映画の方向が固まったら3つのチームで話し合いました。各チーム、全く違ったアプローチを経ておもしろいストーリーがどんどん出てきます。 しかし残念ながら今回つくる映画はみんなの力を合わせた最高の映画一本だけ…。 でもどのチームの話もとてもおもしろい…。一つに絞る方法が見つからない。こんな時は … 「そうだ、とりあえずそれぞれのチームで撮影して映像にしてみよう!」

 今日のところは準備も何もないけど、タブレットを使ってそれぞれのチームで映像に仕上げていくアドリブ撮影会を急遽提案。(盛り上がってるし!)  もっと驚くかと思いきや、みんな意外と「あ、オッケー」てな感じ。 こどもたちからすると順番よりもまずは作ってみることに抵抗感はないんだなということにこちらも気付かされました。

 その場で配役を決め、大事なシーンを中心にどんどん撮影していきます。 とはいえみんなの手元にあるのは台本ではなく、ストーリーの核だけが埋まった「地図」。 セリフの言い回しやカメラのアングルなど細かな部分はその場で撮りながら固めていきました。 ストーリーづくりではあまり前に出ていなかったメンバーが、撮影になると細かな部分に目を配ったり、意見をまとめたりと活躍する姿も見れました。 特技や興味の違う15人が集まったからこそ、いいものができそうな予感…。

大盛り上がりのおひろめ会
 時間いっぱい、各チームで撮影・編集を行い、最後はみんなでおひろめ会。 思わず笑ってしまう場面や、びっくりする場面、おお~っと声があがる場面など、見ごたえばっちりの映像が生まれていて、みんなで夢中になって鑑賞しました。

 あまりの達成感にもう究極を成し遂げた気にさえなった初回の活動。 撮影の途中ぐらいから「あれ?これって最終的には1つにするんだったよね?」とメンバーに聞かれまくりました。みんな自分たちのチームのストーリーにかなり愛着を持ってくれているようです。 「今日はチームで活動したけど、次はどうにかしてストーリーを1つにしよう!」そう話をして活動は終了しました。 次回、地獄のストーリー一本化!

ストーリーづくり その2 2023年8月22日(火) 

お久しぶり!と今日の目標
 初回の集まりから2週間後に再集合したメンバーたち。

 前回のグループワークでだいぶ仲良くなったようで、活動が始まる前から「お盆はどこかに行った?」なんて話題で盛りあがっています。

 さて今日の活動の大きな目標は「みんなで作る最高の映画をみつけること」来年3月まで予定がみっちり詰まった私たち。映画の撮影日も10月初旬に控えて、後回しにはできません。実は時間が全然ない!

 まずは前回の終わり際に話した「どうにかしてみんなが納得して作りたいと思う映画のストーリーを1つにしてみよう」の「どうにか」の部分をみんなで話します。

 実は前回の活動終了後、クルーたちでストーリーのまとめ方について話し合いをしていました。…話し合いの結論は「どのグループにもそれぞれ良いところがある...。どれか1つを選ぶことなんてできない!」ということでこの思いをそのままメンバーたちに伝えます。

 こうなると選ぶ道は2つ。「3つの世界を1つのストーリーに練り直す」もしくは「全部白紙に戻して、1から全員で新しいストーリーを作り直す」です。

 まずは、どうしても前回のそれぞれのチームが作った作品が面白くて捨てがたいと思っていたクルーのあなっちとかずのこがそれぞれ考えてきた「3つをいい感じに混ぜてみた案」をみんなにプレゼンテーション。

 自分たちのアイデアがどんな風ストーリーにまとまっているのか、みんな興味津々に聞いてくれました。…その結果、みんなで決めた道は「3つを1つに」!

 前回の成果がつながり、そこから自分たちも思っても見なかった話に広がっていく面白さを感じたみんなは、「3つの世界を1つのストーリーに練り直す」形で映画を作っていくことに決めました。そうだよね!

 …ここまではスムーズに進んでいました。ここまではね。

進んでる?進んでない?ストーリー1本化計画
 ここで一旦、一般的な映画のストーリー(脚本)づくりについてのお話しをしましょう。一般的に映画の脚本は一人の脚本家が書きます。(一概には言えませんが)短くはない期間をかけ、時には自身の深層心理と向き合うような作業を伴いながら、映画を通して伝えたいメッセージを明確化し、それを伝えるためのストーリーを組み立てていきます。

 私たちは今この作業を、脚本を書いたことがない15人で(多いな!)、しかも2日間で(短いな!)成し遂げようとしています。

 グループワークでは1つのグループが4,5人だったので、全員の意見を聞きながら1つにまとめる作業もなんとかうまくいっていましたが、3倍の規模となると中々前に進みません。

 「3つを1つに案」で、登場キャラクターと場面設定は出そろっていたので、お得意のグループワークでストーリー案を出してみることに。

 うん、やっぱりそれぞれ面白いアイデアが出てきた!でもこれをどうやってまとめる?無限ループにはまりそう…!

スペシャルゲスト登場!
 煮詰まったときには、その道のプロに聞くのが一番。思考が止まってしまう前に…。竹清さんー!。

 今回の活動にはモンブラン・ピクチャーズの竹清仁さんにもご参加頂いていました。竹清さんは会社の社長さんでありながら、長編アニメーション映画「放課後ミッドナイターズ」の監督さんでもあります!「モンブラン・ピクチャーズ」は福岡を拠点に活躍する映像制作会社。せっかくの機会なので会社紹介の映像も見せてもらいました。「知ってるー!」という映像がたくさんあり、みんなで大騒ぎ!

これが生みの苦しみか…!? 監督と一緒に無限ループ
 もちろん、大騒ぎのあとは、竹清監督も無限ループに巻き込みます。しかし、さすが監督です。的確に私たちが迷子になっている部分をあらためて考える一言が次々と…。

 「物語の主人公は誰ですか?」

 「ゴールを設定して、それを妨害する壁を作るといいですよ!」

 ストーリーづくりの道しるべになるアドバイスをたくさん頂きました。最後には「完成を楽しみにしています!」とコメントも。がんばらなくては!

魅力的なのはどの子? キャラクター総選挙!
 ストーリーの「地図」の要点を埋めるように、時にはグループで、時には全体で話し合いながら少しずつですが前に進んでいきます。

 映画のストーリーの骨子の「地図」がなんとか最低限出来たところで、次は、そのストーリーの中で動いていくキャラクターを決める総選挙を行いました。

 キャラクターの外見や性格、クセなど細かな部分までみんなでアイディアを出して決めていきます。そうすることで「このキャラなら次はこう動くはず!」といった風に脚本を書くときにストーリーが動き出すきっかけにもなっていきます。

 みんなイラスト付きで描いてくれたのでイメージがすごく沸きます。しっかり色塗りまでこだわったグループも!

 出そろったキャラクターに一人一票で投票をしていきます。投票の前に「自分のグループのキャラに貼るのはもちろんOK、けれどこの投票は映画を良いものにすることが目的だからね!」と伝えました。全員が真剣に投票したようです。0票のキャラも生まれ、みんなで大笑いしました。

 次回の全員で行う活動はいよいよ映画の撮影です。 当日の撮影もみんなで行うので役割分担の希望を集めたところ、いい感じのバランスに!

 初回から感じていましたが、色々な興味関心・特技のメンバーが集まっているようです。今日の映画のストーリーの骨子とキャラクターで作る映画の脚本を書くメンバー2人も決まり、 これから撮影に、脚本執筆に、向けて走り出していきます。

 まだまだ始まったばかりの究極の映画館プロジェクト。 応援よろしくお願いします!

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■共催:福岡市
■後援:こども家庭庁